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腎臓・泌尿器系の病気 – アイン動物病院

腎臓・泌尿器系の病気

健康な猫の尿は透明な黄色をしています。飼っている猫の健康状態を知るにも毎日の排尿はよく観察しましょう。薬を飲んでいる猫は少し色が違うかもしれません。一応、獣医師に確認しておきましょう。
犬や他の動物を飼っている飼い主様もその子の健康な状態を知っておきましょう。

排尿時の様子も見てください。なかなか尿が出なかったり、痛がって鳴いていませんか?
何度もトイレに行ったり、力んで排尿していることはありませんか?
尿の状態はどうですか?色が変わっていたり、血が混じっていませんか?

動物に泌尿器の病気が多いということ、命にかかわることもあるということを知っておきましょう。泌尿器系の疾患を検査するのは、血液中のBUN、クレアチニンと尿の検査です。
さらに詳しく調べるには、血液中のカルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、クロールなどの電解質やコレステロールを測定します。

腎炎 腎臓に炎症が起こり機能が低下する病気です。
腎不全 腎臓機能が低下し体内の老廃物を対外に排出できなくなる病気です。
腎形成不全 子供のころから腎不全の症状が出ます。
片側腎無形成症 産まれつき1つしか腎臓が無いためほとんど機能障害が起こります。
アミロイドージス 類腎澱粉症ともいい蛋白尿が見られます。
膀胱炎 犬に多い病気で尿道から細菌が侵入し感染します。
尿路結石症 腎臓・膀胱に石のようなものができる病気です。ウサギの尿はアルカリ性でカルシウムを多く含んでいるため結石の発症が多くなっています。
尿道炎  
尿道下裂 先天的に外尿道口が正常の位置に無いことです。
シスチン尿 雄犬に多く発症します。尿中のシスチン量が増加し結石ができやすくなります。
猫泌尿器症候群 猫に多い病気で砂のような物質が尿道に詰まって排尿できなくなります。
尿失禁 脊椎を損傷したウサギに多く見られます。

腎臓の病気

腎臓は脊椎の両側、左右に1つずつ、2つあります。身体の老廃物や毒素が血液とともに腎臓に送られると、腎臓は不要な老廃物と毒素を水分と一緒に尿として膀胱へ送る働きをします。他にも代謝や水分バランスなど、身体を正常に維持するために大切な臓器です。

腎炎

腎炎の原因は、はっきりしていませんが感染症や中毒などと考えられています。例えば、細菌やウイルスなどの感染症、フィラリア症、糖尿病、子宮蓄膿症などで、このような原因で急性腎不全が起こると腎臓機能に障害がでます。

老廃物や毒素を排出できなくなったり、水分調節が上手くできないという状態になります。腎炎と気づかず治療をしないとやがて慢性腎炎になります。

慢性腎炎は症状がほとんどないので飼い主様が気づいたときは腎不全といったことが多いようです。急性腎炎は1回の尿の量が少ない、色が濃くなる、血尿が出るなどのほか食欲もなくなります。むくみや痛みもあります。進行すると腎臓機能がもっと低下し腎不全になります。

腎不全

腎臓は全機能の約75%以上を失うと腎不全と言われています。腎不全には突然発症する急性腎不全と、時間をかけて進行していく慢性腎不全とがあります。原因は、先天的なものもありますが感染やストレス、ショツク、急性腎炎の悪化や泌尿器の障害などで排尿が出なくなったり、全身性の疾患などの二次的なものもあります。急性腎不全はネフロン(下図参照:ヘンレのループ)の機能が急激に低下し、有害な老廃物などを排泄できなくなります。

数ヶ月以上このような状態が続く症状を慢性腎不全といいます。慢性腎炎などで腎臓機能が少しずつ悪くなり、体内に老廃物が蓄積されていく病気です。そして慢性腎不全になった場合、悪化した腎臓機能は二度ともとの状態に戻ることはありません。慢性腎不全(CKD)とは正常値と比べ、腎臓の働きが約60%以下に低下、腎障害をおこしている場合です。
慢性腎不全は進行性であり、ほとんどの場合、治療を続けても少しずつ悪化していきます。もちろん治療しなければさらに悪化し、体内の水分調節、老廃物のろ過ができなくなり、やがては全く機能しなくなり毒素を排出できない身体は死ぬことになります。

さらに、動物医療が進み、動物の寿命が延びたことも腎不全が多くなった原因のひとつです。
腎臓の病気は猫によく見られます。特に5歳を過ぎた頃から発症率は高くなります。
犬では高齢になると発症率も高くなりますが猫ほどではありません。但し、腎臓以外の尿路系でトラブルが多く見られます。

症状は食欲不振、嘔吐、下痢、ひどいときには口の中が乾燥するほどの脱水状態を起こします。

慢性になると食欲不振、嘔吐、一日に何度も排尿したりまたは、排尿しなかったりします。貧血や元気がなくなる子もいます。体の震えや痙攣は末期症状です。

腎盂腎炎

腎盂腎炎は腎盂や腎臓内の尿管で細菌感染が起こった場合に発症します。
ほとんどは膀胱からの感染が尿道を経て腎盂に侵入したと思われます。また、先天的なもの(形成不全など)では感染率も高くなります。
急性では発熱、嘔吐、また周囲の痛みもあります。
急性をそのままにしておくと慢性になり体重の減少や食欲不振などが見られます。

糸球体腎炎

糸球体腎炎というのはタンパク質がろ過装置に詰まる状態です。検査ではタンパク尿などの診断が出ます。原因は感染や肝炎、敗血症などで血圧が上昇します。適切な処置ができないと高血圧から突然失明ということもあります。ここまでくると食事を拒絶するなど重度の状態になります。

アミロイドーシス

アミロイドーシスは糸球体腎炎の中でも別の型を持っています。アミロイドーシスではアミロイドいう不溶性タンパク質が腎臓などの組織に沈着し細胞に障害を引起こします。

腎臓は障害があってもかなり進行しないと症状が現われません。腎不全の症状が出たときはかなり進行した状態です。犬も猫も5歳を過ぎたら、年2回以上の健康診断で血液検査と尿検査をしてもらいましょう。健康なときから定期的に健康診断を受けるようにし、早期発見に努めることです。検査は主に、血液検査と尿検査です。病気になっていても食事療法、点滴、投薬などで腎臓機能を助け進行を遅らせることができます。飼主の日ごろの観察も大切です。

人の慢性腎臓病(CKD)が増えています。成人では1000万人以上が慢性腎臓病と推測されています。高血圧の方は特に注意が必要です。腎臓病と高血圧は相互に悪影響を与えます。高血圧が腎臓の働きを低下させ、腎臓の働きが低下すると高血圧が悪化するという具合です。飼い主様もペットも定期的な健康診断は必ず受け、病気の早期発見、早期治療が大切です。

腎臓の主な働きは(1)尿をつくる、(2)血圧の調整、(3)造血ホルモン(エリスロポチエン)の分泌、(4)ビタミンDの活性化。食べたのもから栄養分を吸収し、残った老廃物と余った電解質を体内の水分とともに尿として体外に出します。過剰なナトリウムを排出し、血圧の調整をします。血圧が下がりすぎるとレニンという酵素の一種を出してアンジオテンシンという血管を収縮させる物質を作り出して血圧を上げる働きをします。

腎臓の中には“ろ過器”のような働きをする糸球体(上図参照)と呼ばれる組織がたくさん詰まっています。糸球体は尿を作る一つの単位で、その先の動脈と静脈は細い血管の束になっています。この糸球体の壁はとても薄く、血液の中の老廃物や水分などを原尿として尿細管へ押し出します。この原尿の中には、まだブドウ糖やアミノ酸、電解質など体に必要な物も含まれています。この原尿から体に必要な物を選択し、再度血液の中に戻します。再吸収が終わり不要物だけになった尿は腎盂(じんう)に集められ、尿管へ流れて行き膀胱に溜まります。

猫ちゃんの腎臓病