2019/12/15
カメの飼い方【飼育環境】
犬や猫のように抜毛や鳴き声の心配がないため人気のあるカメですが、身近に暮らしていてもその生態はまだわからないことが多く、人気のある輸入のカメについては食事や飼育環境のこともまだよくわかっていません。
特にカメなどの爬虫類はサルモネラ菌などのキャリアですし、他にもどんな菌を持っているかわからないことが多いのです。カメだけでなくあなたのためにも、飼育しようと思うカメについて、飼う前によく勉強しましょう。そして、生息地と同じ環境を用意できないのなら飼育はあきらめるくらいの考えが必要です。
カメを飼おうと思うなら、カメに気持ち良く過ごしてもらえるような環境を作り、爬虫類を診てくれる動物病院を飼う前に見つけてください。
カメの飼育その① 健康なカメを選ぶ
カメを手に入れるには、ペットショップか爬虫類などの専門ショップに行きます。
選ぶ基準は、一番に“健康なカメ”であるということです。素人目には外見だけではなかなか判断できませんが、動きが極端に鈍かったり、甲羅に傷があるなどのカメは避けてください。甲羅が硬くきれいで、皮膚の状態も良いものであることを確認しましょう。
しっかりしたお店であれば、飼うカメについてお店の方からいろいろなアドバイスをしてくれます。カメが大好きな店であれば、カメにとってよい飼育環境で飼ってほしいと、どんな相談にも親切丁寧に教えてくれるはずです。初めてカメを飼う場合は、こういう店を選んでください。
非合法に輸入されたカメや自然界にはない種など、怪しいと思ったら購入は止めましょう。ワシントン条約で規制されているカメを購入する場合は、国内で飼育されたカメからの繁殖かどうかを店に確認してください。
ワニガメやカミツキガメなどは身体が水に浸るくらいの場所で生活します。但し、このカメは身体も大きく凶暴なので飼育を禁止している自治体もあります。スッポンモドキなどは産卵以外は水中で生活します。いずれも一般家庭や個人での飼育は難しくお勧めできません。飼育を禁止されているカメかどうかは各自治体に問い合わせてみましょう。カミツキガメなどの凶暴なカメは届け出と許可が必要です。
水棲のカメは一般家庭での飼育は難しいのでお勧めしません。また、飼育するにしても数種に限られています。水棲のカメといっても水中で過ごすものや頭だけ水上に出しているタイプがあります。
カメの飼育 その②カメに合わせた飼育設備をしよう
カメを入れる飼育容器ですが、水槽か衣装ケースがいいでしょう。ケースの大きさは体長10cmのカメ1頭に約930㎡の広さが必要とされています。蓋は要りません。蓋をすると容器内の湿度が上がり細菌が繁殖しやすくなります。カメが逃げ出すのであれば、メッシュのスクリーン、焼き網などでふさいでください。カメ用の水槽であればライトなどの付属品が付いているものがあるので初めての方は飼育員と相談されるといいと思います。
専用ケージ | 水槽・衣装ケースなどでも可、スペースがとれるもの。 |
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蛍光灯(紫外線) | カメには適度の紫外線照射が必要です。 |
ホットスポット | 一部を設定温度以上に暖房する、乾燥の効果もあり。 |
床材 | よく汚すので新聞紙がいいでしょう。ウサギ用ペレットでも可。 |
その他 | 温度計・サーモスタット・ヒーター・陸地(大きめの岩)など。 |
- 淡水ガメ(水辺を好むカメ)の飼い方
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水辺に棲息するカメの代表はミドリガメです。もっともミドリガメと呼ばれているほとんどは“ミシシッピーアカミミガメ”という外来種です。他にはクサガメやイシガメも水辺に生息しているカメです。水辺のカメも森林を好むカメも飼育設備はほとんど同じです。水辺のカメの場合、水場の多い環境にします。
- 十分な運動のできる水場と休憩や甲羅干しのできる陸場を必要とします。市販されている水槽かタライ・衣装ケースを用意します。水深は最低でも、甲羅が全部つかるくらいは必要です。運動をかねて泳げるくらいの水深があれば適しています。陸場部分は体全部があがることのできる広さがあればよいので、市販のカメ用浮島やレンガなどでもかまいません。
- 水は、小型のカメであれば水深2.5cmくらい、大きくなれば水量を増やします。
- 飼育時の温度は24℃~29.5℃、水温は24℃~28℃です。これを維持するために、ヒーティングテープやヒーティングパッドをケージの下に敷くか、放射熱の熱源や水槽用ヒーター、または熱帯魚用のサーモスタットも利用できます。直接の熱源は低温やけどを起こすことがあるので避けます。
- ケージ内に局所性の暖かいスポットをセットしてあげてください。飼育容器の陸地側20~30㎝上側に、60Wの白熱球をセットすると暖房と乾燥の効果が期待できます。これはホットスポットといい、ケージ内の設定温度以上に温める目的で設置し、ケージ内の片隅など一部のみに当たるようにします。これによりケージ内に温度差を作り出すことができます。(30~38℃になるように)
- 環境維持のために温度計を必ずケージ内に設置し、日に数回観測しましょう。
- 過度の温熱、急速な冷却を予防することが大切です。
- ハコガメ(森林を好むカメ)の飼い方
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森林を好むカメの中ではハコガメやヤマガメが知られています。ほとんどのカメは好んで泳ぐことはありません。
- 水に入るのが好きなカメやほとんど入らないものなど種によってちがいますが、水深の浅い水場と運動ができて、プライバシーのもてる広さの陸場が必要です。水辺のカメの反対の住居ですね。水の量や水深はカメの種によって異なります。そのほかの環境は水辺のカメと同じです。
- アメリカハコガメは全種ワシントン条約附属書Ⅱに指定されています。またハコガメの中にはセマルハコガメのように日本原産亜種は天然記念物に指定されているので注意が必要です。他にもハミルトンガメ・バタグールガメなども指定されています。
- リクガメの飼い方
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ほとんど陸で生活するので、歩行に適した丈夫な四肢と乾燥に耐える強い皮膚を持っています。ガラパゴス諸島のゾウガメに代表されます。陸棲のカメというと乾燥した地域を思いますが熱帯の高湿度地域の棲息する陸棲のカメもいて飼育も異なります。 エジプトリクガメ・ホウシャガメなどは現在ワシントン条約附属書Ⅰに指定されています。一般家庭で飼育できるのはギリシャリクガメのような小型のカメです。但しこのカメもワシントン条約に指定されています。