2019/12/15
飼育下での爬虫類の食事
爬虫類には肉食性のもの、草食性のもの、雑食性のものがいます。飼う爬虫類が野生化でどのような食事をしているか知っておく必要があります。肉食だから肉だけというわけではありません。もちろん水分も必要ですし、必須栄養素もあります。爬虫類についてはまだ十分わかっていないのです。それでも飼いたい飼い主様はその種についてよく勉強し、最適な食事を与えなければいけません。
肉食性の場合
爬虫類の中で肉食なのはヘビ類全種、トカゲ(中には雑食性もあり)、小型イグアナ類、水棲・半水棲のほとんどのカメなどです。ほとんどは動物性食物しか受け付けないのですが中には慣らしていけば果物などを食べるものもいます。
通常、動物性タンパク質と脂質を多く摂取し、炭水化物はほとんど必要としません。消化管の機能がそれに適しているためで繊維質も少ししか吸収しないようになっています。肉食性では高品質のタンパク質が必要になるので生き餌をそのまま与える方が栄養の面からはよいようです。但し、大きすぎたり、元気がよすぎる生き餌は食べないかもしれません。タンパク質といっても植物性タンパク質では肉食性の栄養にはなりませんので注意しましょう。
生き餌についてその栄養素を知ることも大切です。(左図参照)飼育下では野生と同じ生き餌を与えることは大変難しいことです。小型の両生類などを食べている爬虫類にマウスを食べさせるときはマウスにカエルなどの臭いをすりつけて与えるようにします。生き餌も生きていればいいわけではありません。肉食性爬虫類の飼い主様がその生き餌も一緒に飼育しているのなら飼育管理をきちんとします。健康で適切な食事を与え、栄養が十分なときに爬虫類に与えます。公園や河川などで採取した場合、寄生虫や他の病原菌を持っている可能性があります。飼育が無理なら市販の生き餌を与えるようにしましょう。
手に入りやすいミルワームなどの無脊椎動物にはキチン質という物質が含まれており肉食のトカゲ類には不向きです。春から夏にかけてよく見かけるカタツムリは寄生虫の心配がなければ好ましいものです。半水棲のカメなどにはミミズがいいでしょう。ペットショップや釣り餌専門店に行けばこのような生き餌はカンタンに手に入ります。
草食性の場合
草食性の爬虫類はリクガメ(中には雑食性もいます)、グリーンイグアナなどです。
炭水化物とタンパク質を主に摂取します。脂肪は少なく繊維質は必ず必要で少ないものから多く摂取するものまでさまざまです。イグアナなどは高タンパク質のものを好む傾向があります。繊維質が不足すると下痢を起こすので注意しましょう。
与えられるものは野草、野菜、果物・・・乾燥地域に生息している個体には乾草、食用サボテン、食用の花(タンポポなど)などで湿地帯に生息する個体には果物や野菜などです。市販のものは栄養価が低いのでサプリメントが必要になります。もちろん飼い主様が栄養価の高い野草などを与えればそんなに問題ではありませんが。リクガメやイグアナの床材としてアルファルファ、チモシー(少ない方がいい)の干し草を使用すると食物にもなるので便利です。
注)アルファルフアはペレット、チモシーは干し草
雑食性の場合
雑食性の爬虫類にはハコガメやセオレガメ、半水棲でも森林に生息するカメ、イグアナ(グリーンイグアナを除く)などです。また、ヌマガメの幼体の多くは雑食性です。
爬虫類、特にヌマガメなどは幼体と成体では摂取する食物が異なります。子供の頃は動物性をより多く摂取していますが成長すると植物性の方が多くなります。飼育下でも成長期には無脊椎動物の食事を与えることでより早く成長するようになります。但し、その後は繊維質・炭水化物の多い食事に変えます。
野生ではいろいろな動物性の食事・植物性の食事を摂取していますが、飼育下ではカメ用ペットフードなどが市販されているのでそれを利用するのが簡単でいいかも知れません。野菜や果物も与えることができます。