診療時間 日・祝
10:00~12:00
17:30~21:00

【初診受付】10:00~11:00/17:30~19:00
【休診日】火曜日終日・金曜日午後
TEL:06-6380-5638

猫に必要な栄養 – アイン動物病院

猫に必要な栄養

猫は食肉目に分類されます。猫には肉食動物がもつ栄養学上の特徴がたくさんあり、必須栄養素は約40種類になります。猫に必要な栄養素は、タンパク質、脂肪、ミネラル、ビタミンの順になり炭水化物は必要としません。猫の必要な栄養素が入った食事をキャットフード以外から摂取することは大変難しいことです。猫は動物性タンパク質を人間の5倍、犬の2倍必要とします。脂肪の要求量も犬より高いのです。

 

猫にとって水は宝物

水分の摂取は、飲水、食物内の水分、代謝の3つがあります。代謝はタンパク質、脂肪、炭水化物の分解過程で生産され、猫の一般的な食事の場合、総水分摂取量の約10%を占めます。1日に必要な水分量はいろいろな要因によって左右されますが、猫には常に新鮮で清潔な飲水を充分に用意しておきましょう。

水の役割は①栄養素や代謝産物を体中に運びます。②体温調節システムの重要な要素となります。③食物の消化と代謝に不可欠です。

 

猫にはこれが必要

食物の中の炭水化物は、ブドウ糖などの単純な糖、ショ糖、デンプンの3つに分けられます。これら以外にもセルロースなどの不消化性多糖類があります。炭水化物はエネルギー源として利用されますが、猫はタンパク質からもブドウ糖を作ることができるので、食事中のタンパク質が適切(良質なキャットフード)であれば炭水化物を与える必要はありません。猫は通常ブドウ糖や調理されたデンプンを消化することはできますが、ラクトース(乳糖)はごく限られた量しか消化できないので、猫にミルクを与えるときは少量にしなくてはいけません。

タンパク質 タンパク質を構成するのは20種類のアミノ酸です。猫の食事にはタンパク質が不可欠で、接種したタンパク質から体の構造と機能に欠かせない新しいタンパク質を合成します。タンパク質は組織の成長と修復、代謝の調節や病気を防ごうとする体内メカニズムに必要なものです。必要なアミノ酸のうち10種類は体内で作ることができないため食事から摂取する必要があります。これら10種類のアミノ酸を必須アミノ酸といいます。このうちの1種類でも欠けていると猫にとっては不適格な食事となります。猫は肝臓中の酵素活性が高いため犬より高タンパク質を必要(約3倍)とし、低タンパク質の食事では栄養不足になります。
タウリン タウリンは猫にとってとても重要な栄養素です。猫は、アルギニンとタウリンという特別な酵素(アミノ酸)を必要とします。猫は自分の必要量のタウリンを体内で作ることができないため食事からタウリンを補給する必要があります。タウリンが欠乏すると猫は網膜萎縮症を起こし失明する危険があります。これ以外にも繁殖、成長、心筋の健康維持にもタウリンが必要なことがわかってきました。猫に不可欠なタウリンを含む食品は動物由来のもので植物・穀物には含まれていないのです。アルギニンをまったく含まない食餌を与えると1時間以内に高アンモニア血症を起こし死亡することもあります。犬もアルギニンを必要としますが猫に比べてはるかに少ない量で、体内でシスチンから必要量のタウリンを合成することができます。
脂肪 猫の食事に含まれる脂肪の働きは、エネルギー源、食事に嗜好性(風味・味覚・おいしさ)を持たせることです。他にも脂溶性ビタミンの吸収を助けたり、必須脂肪酸を供給したりします。多くの哺乳動物が必要とする必須脂肪酸のリノール酸は体内で、正常な代謝作用から動物が必要とするほかの必須脂肪酸に転換されます。猫はこの転換機能が限られているため食事にも転換された脂肪酸が含まれる必要があります。猫は、他の動物と異なり体内で誘導EFA(アラキドン酸)を合成することができません。したがって動物組織のみに含まれるアラキドン酸が必須脂肪酸として必要です。必須脂肪酸(EFA)は皮膚、腎機能などと関連があり、これが不足すると被毛は乾燥してきます。
ミネラル ミネラルは主に3つの働きがあります。まず、骨や歯の構成成分となるもの(カルシウムやリン)、体液をコントロールしたり体を正しく機能させるもの(ナトリウムやカリウム)、酵素やタンパク質の成分になるもの(鉄など)です。ただし、過剰摂取は体に有害となります。
ビタミン ビタミンは通常、脂溶性と水溶性に分けられます。脂溶性ビタミンが過剰に蓄積されると猫の健康に重大な影響を及ぼすことがあります。ビタミンAの代謝に変わった特徴のある猫は肉食性です。通常食品の中でカロチノイドと呼ばれる物質で存在します。ほとんどの哺乳類はこのカロチノイドをビタミンAに転換できますが猫にはこの反応が起こりません。そのため食事中にビタミンAが含まれていなければならないのです。完全なビタミンAは植物には存在しません。ビタミンAの供給源として代表的な食品はレバーです。レバーには非常に高濃度なビタミンAが含まれていますのでキャットフードにレバーが含まれている場合は過剰摂取に注意する必要があります。

 

バランスが大切

脂肪はグリセリンと脂肪酸でできています。そして脂肪酸(上記脂肪の欄参照)には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。獣肉や家禽肉などは飽和脂肪酸、植物油や魚油は不飽和脂肪酸が多く含まれています。この不飽和脂肪酸を代謝するにはビタミンEが大量に必要です。このため魚主体の食事だと代謝されずに残った不飽和脂肪酸が酸化され、猫に有毒な脂肪となって蓄積されます。このような食事を続けると脂肪が蓄積されつづけ黄色脂肪症状(脂肪織炎)になるのです。食事中のカルシウムとリンの比率は1.2:1です。充分な摂取量が必要で不足すると骨の成長や維持に障害が出ます。特に成長期に不足すると骨が曲がったり、折れたりすることになります。