診療時間 日・祝
10:00~12:00
17:30~21:00

【初診受付】10:00~11:00/17:30~19:00
【休診日】火曜日終日・金曜日午後
TEL:06-6380-5638

身近な危険物 – アイン動物病院

好奇心の強い動物たちは目に付いたもの、そこにあるのもを舐めたり触ったりして確かめます。人間社会では動物にとって危険なものがたくさんあります。室内でも室外でも、飼い主が注意しないと中毒を起こし最悪死亡することもあるのです。

 

食べ物に注意

基本的に犬や猫などと人間の食べ物は違います。必要とする栄養素が違う事もありますが、人間には何でもない食べ物が、動物には体に負担を与えることもあります。

食品名 危険性
チョコレート チョコレートが好きな飼い主様は多いと思います。自分が食べるときにおやつ代わりに与えてはいないでしょうか。大量に摂取すると死亡することもある危険物ということをご存知でしょうか。チョコレートにはテオブロミン(Theobromine)という毒が含まれておりたくさん摂取した場合は嘔吐や下痢を起こします。テオブロミン含有量はブラックチョコレートに多く含まれています。不純物の少ない調理用にはより多く含まれます。動物の大きさと摂取した量にもよりますが死亡することもあります。テオブロミンの量が100mg/kgになると中毒症状を引き起こし、250mg~50mg/kgになると致命的と考えられています。例えば4kg以下の小型犬が100gのチョコレート(ブラック)を食べると死亡することがあります。軽症では嘔吐や下痢などですが運動失調、興奮、発作が起こることもあります。
含有量は以下の順になります。① 料理用チョコレート・・・・・② ブラックチョコレート・・・・③ セミスィートチョコレート・・ ④ ミルクチョコレート・・・・・⑤ホワイトチョコレート・・・・ チョコレートケーキなどには料理用やブラックチョコレートが多く使用されています。少量でもテオブロミン含有量が多く危険です。犬や猫は人間よりずっと小さい生き物です。
チョコレートの入った嗜好品は少量でも小さな動物には危険物となります。十分注意しましょう。
マカダミアナッツ  
アボカド  
玉ねぎ類すべて タマネギなどのネギ類にはN-プロピルスルフィド、メチルジスルフィド、アリルジスルフィドという有毒物質が含まれています。人間が食べてもこの毒素を消す酵素の働きで無害になりますが、動物が食べると溶血性貧血、発熱、暗赤色尿の排泄等の中毒を引き起こし大変危険です。重症の場合は命に関わります。加熱してあるものも、例えばハンバーグやカレーなども注意してください。
ナス科の野菜 ナス科の野菜には嘔吐や下痢を起こすソラニンという物質が含まれています。また、ジャガイモなどの芽にも含まれています。
アルコール飲料 少しくらいとビールなどを飲ませてはいませんか。動物にとってアルコールは禁物です。体重2~3㎏の犬や猫にとって舐める程度の量であっても非常に危険になります。アルコールは1Kg5.5~6.5ml摂取すると犬猫にとって致命的であると言われています。一般に10%程度のアルコールを含んだ飲料であれば動物の体重1㎏当たり50ccほどで致死量になります。この中毒は中枢神経を侵します。空腹時に接種すると約15分後には運動失調の状態から立つことができなくなります。重症になると呼吸困難から昏睡、死亡することもあります。散歩の途中で空き缶などに残ったアルコール飲料を接種する可能性もあります。また、放し飼いにしている場合など飼い主様の見ていない場所で、他人が与える可能性もあります。
カフェイン 人間でもカフェインを含んだ飲食物を多量に摂取すると眠れないなどの症状が現われたりしますが、犬や猫の場合はずっと深刻です。カフェインは、特に中枢神経系を刺激します。また、細胞にあるフォファリエステラーゼという酵素を抑制・阻害したり、細胞にあるアデノシン受容体という生理活性物質の作用を止め、色々な臓器に作用します。致死量は体重1kgに対して150mgになります。上記のチョコレートをはじめ、コーヒー・紅茶など多くの嗜好品にカフェインが入っています。多量接種すると中枢神経だけでなく心筋をも刺激し、脈拍・呼吸の乱れ、全身の震えや痙攣、異常な興奮が起こり重症になると全身からの出血もあります。

 

室内・室外の危険物

案外うっかりするものです。いつでもあるものなので見逃してしまいがちです。

製品・薬品名 危険性
人間用薬 鎮静剤、抗うつ剤、アスピリンなども動物には毒となります。食欲がなくなるくらいは軽症ですが、嘔吐物に血が混じったり痙攣を起こすこともあります。量が多いと重症になります。
育毛剤 オーストラリアで、ペットの猫が飼い主の頭に塗られた育毛剤をなめて瀕死の状態になったことを受け、人間の使う育毛剤が動物に与える危険について警告しました。ミノキシジルを含んだ育毛剤との事なので使用されている方は注意してください。
タバコ ニコチンは毒になります。嘔吐、下痢、腹痛といった症状が普通ですが大量に食べた場合は運動失調、虚脱から死亡することもあります。
台所用洗剤 皮膚についた場合は炎症を起こしたり痒みが出たりします。舐めたりした場合は口から泡を出したり嘔吐や下痢をしたりします。
塩素系漂白剤 皮膚につくと炎症を起こします。舐めたりすると嘔吐や下痢、量が多いと痙攣を起こしたりします。
フローリングワックス ワックスを塗ったばかりの床を歩いたり、舐めたりすると皮膚の炎症を起こし、嘔吐や下痢、舐めた場合は舌に潰瘍ができます。重症では痙攣が起こることもあります。
トイレ用洗剤 トイレ用洗剤には塩素系の成分が含まれています。
動物用ノミ駆除剤 動物病院で処方されるほとんどのノミ駆除製品には含まれていませんが、市販されているノミ駆除首輪・スポット・スプレー・シャンプーなどには有害な物質が含まれているものが多くあります。有機リン剤・カーバメート・塩素化炭化水素系などの含まれている製品は中毒を起こします。
症状はヨダレや興奮・食欲減退・腹痛・嘔吐から呼吸困難・痙攣など様々です。重症の場合は死亡することもあります。
殺虫剤 業務用・家庭用としてさまざまな殺虫剤が市販されています。殺虫剤の多くは有機リン剤や有機塩素化合物で主に神経に作用する成分が含まれています。
家庭で使用するときに噴射により吸引したり皮膚に付いた液が吸収されます。また、誤食などで摂取されることもあります。摂取すると有機リン系の特徴である神経系の症状を現して、重症の場合は死亡することもあります。
軽症であれば嘔吐や下痢、腹痛などの中毒症状ですがほとんどは興奮したり呼吸困難、運動失調などの症状から背全身の痙攣がおき昏睡状態になります。最後は死亡します。
殺鼠剤 殺鼠剤にはワルファリン、ストリキニーネなどの劇薬が使用されています。
摂取すると血液凝固が起こり歯茎などが白くなります。また歯茎などからの出血血便、血尿、吐血、それに皮膚にも赤い斑点が見られるようになります。呼吸困難、痙攣が起こり直ぐに昏睡状態になります。やがては死亡してしまいます。
ナメクジ駆除剤 ガーデニングをされている方ならよく使用されているかも知れません。ナメクジなどの害虫駆除剤にはメタルアルデヒドという薬物が含まれています。誤って食べたりするとよだれを流したりフラフラとします。量が多いと痙攣や昏睡を起こし死亡することもあります。
除草剤 塩素や砒素が含まれています。
成分で異なりますがヨダレ・嘔吐・下痢・血尿・タール状の便のほか舐めたりした場合のどの渇きや炎症などもあります。心拍数もはやくなり呼吸困難となり志望することもあります。
ガソリン 皮膚に付くと炎症を起こします。舐めると嘔吐や下痢、下には潰瘍ができます。まれに痙攣を起こすこともあります。
灯油 消化器官に障害を起こします。元気が無くなり嘔吐や痙攣などの症状があります。