2019/09/26
マラセチア症
原因
真菌(酵母)のマラセチア・パキデルマティスが増えることで皮膚炎や外耳炎を起こします。マラセチア菌は、ピーナッツ状の独特な形をしているので顕微鏡で確認できます。
感染
マラセチア菌は、健康な皮膚や粘膜に常在しています。アレルギーや体調不良、免疫の低下などで皮膚の局所免疫が弱くなったところで増えて症状を表します。また、脂漏や湿気が帯びたところで菌が増えやすく、外耳道・趾間・雛壁(ひだ状になっているところー口、鼻の周囲、陰部、肛門周囲)や皮膚同士がこすれる脇・股などです。
動物や人との接触でも感染が広がる可能性もありますが、健康な個体にも存在する常在菌なので感染性が強いということではありません。
ただし、赤ちゃんやお年寄り、病気療養中の方がおられる家庭では注意が必要です。
好発犬種
マラセチアの好発犬種は、アレルギーの好発犬種や狩猟犬や乾燥地帯でブリードされた犬種で、ウエストハイランドテリア・コッカースパニエル・バセットハウンド・イングリッシュセッター・シーズー・ジャックラッセルテリア・スプリンガースパニエル・ジャーマンシェパード・プードル などです。
症状
皮膚のべたつき、赤みやフケが多くみられます。かゆみと、独特のにおいがします。耳、首、脇の下、下腹部、指の間など、皮膚がひだ状になっていたり、擦れ合うところでマラセチアは増えやすいため症状が出やすく、悪化しやすくなります。慢性化すると、皮膚が厚ぼったくなったり、晴れたり、黒ずんできます。
爪の周りに重度の感染が起こると、爪の色が黒く変色します。
治療
薬浴が有効ですが、ほとんどの場合アレルギーや免疫異常などの体の異常が関係しているため、全身の検査やそれに対する治療を並行して行う必要があります。
マラセチア菌は、皮脂を好むため抗脂漏シャンプーや抗マラセチア・真菌シャンプーを選択します。多くの場合、皮膚の状態が悪いため、細菌の二次感染を引き起こしているます。そのため、抗生剤の併用することがあります。
基礎疾患のコントロールが難しい場合、皮膚免疫や皮膚バリアの状態を良好に保つことが重要となります。
予防
定期的なシャンプーで皮脂のコントロールを行うことが大切です。特に湿度が高くじめじめしているときやグルーミング不足に注意します。また、市販されているシャンプーなどでの過度な洗いすぎも、皮膚バリアを奪うことになり、感染を悪化させることがあるので必ず獣医師の指示のもと行うようにしてください。
悪化させる原因となる基礎疾患をコントロールするためにも動物病院と連携して体を管理してあげることが重要です。