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小鳥の健康管理 – アイン動物病院

小鳥の健康管理

成鳥して繁殖をしない小鳥には、健康を維持するだけでOK。過剰な栄養は肥満や栄養バランスを悪くしていまうので注意が必要です。人の食べ物をあげるのは極力避けるようにしましょう。もちろん与えないのが一番です。繁殖中の子育て中の成鳥、成長期やヒナ鳥には、バランスの取れた高栄養の食事を与えます。アワダマや種子は小鳥の食事として好ましくありません。栄養バランスのよい食事があっても、保管状態が悪かったり、与える比率を間違ったりすると良い食事とはいえません。

食事管理は飼主の責任です

飲水 毎日新鮮な水を与えます。水入れの中に糞や食事を入れてしまいますので、きがついたらまめに取り替えてあげましょう。特に夏場は汚れるとすぐに腐ってしまうので頻繁に取り替えることが必要です。
水は水道水で十分です。もし、塩素が気になる場合は15分間沸騰させたお湯を常温に冷ましてから与えます。
ミネラルウォーターは含まれている成分によっては小鳥に良くないものがあります。
食事 飼い鳥にあった食事を与えることが大切です。成長期に栄養が足りなかったり、維持期に栄養過多だと病気になってしまいます。一番いいのは総合栄養食のペレットです。タイプもたくさんありますが、できればかかりつけの獣医師に相談されることをお勧めします。
ペレット以外には青菜や野菜などを与えます。青菜は鳥に必要なビタミンをたくさん含んでいます。
ビタミン剤を与える場合は獣医師の指示を受けるようにしましょう。不必要な栄養素は障害の元です。
与え方 一日分の量を与え、前日の残りの上に足さないようにしましょう。
ペレットを水容器に入れたり、湿らせたりしたら取り替えます。そのままにしておくと栄養分が流されてしまいます。
食品管理 保管場所は涼しい日光の当たらない感想した場所にしっかり封をして保存します。できれば冷凍庫か冷蔵庫での保管をお勧めします。常温であると、特に夏場は蒸し暑くてカビや虫がわいてきます。もちろん青菜などは毎日新鮮なものを与えます。

 

食事は栄養バランスを考えて

ペレット

栄養バランス・栄養価の面からも、最も優れています。良質のペレットを与えていれば他の食品を与える必要はありません。メーカーでいろいろな種類がありますので小鳥に合ったものを与えて下さい。穀物種子を食べていた小鳥には嗜好性が合わないことがあります。食事の時間や形態に変化を持たせ、食べてくれるまで辛抱強く与えてください。食べないからといって、従来の食べる食事を与えていては、ペレットを食べる必要性がなくなり、食事の切り替えができません。ペレットは小鳥が必要とする総ての栄養素をバランスよく含んだ総合栄養食です。
飼い主様の皆様は、小鳥は穀類や種子、そして青菜を与えていれば大丈夫と思ってらっしゃるかもしれません。
しかし野生の小鳥は多種多様なもの、例えば果物・虫・土(ミネラルを補給します)も食べています。
市販されている穀類は乾燥もので自然そのままの種子や食品ではありません。栄養バランスの取れた食事を与えるにはペレットが最も優れているのです。

穀類種子
小鳥用として市販されているものには、粟・ひえ・キビ・カナリーシードの4つが混合されたフードがあります。殻付きと殻をむいたものがありますが、なるべく殻付きを与えます。殻の部分に栄湯が多く含まれていますので、むいたものだと清掃は楽ですが栄養価が低くなり、栄養失調になることがあります。赤や緑色に着色された食品がありますが、小鳥によくありませんので避けるようにします。しかし、殻付種子だけを与えることは栄養障害を起こすので、できればペレットが主食で補助的に与えることをお勧めします。
青菜
小鳥にビタミンAは不可欠です。小松菜やチンゲン菜・ブロッコリー・パセリなど色の濃い野菜を与えましょう。キャベツ・レタスなどの薄い色の野菜は水分ばかりで栄養価が低いのであまり与えないほうがいいでしょう。

 

野草
ハコベなどはとても栄養があり主食にもできるくらいです。小鳥もよく食べます。ただ毒性の野草や農薬・犬猫の糞などに汚染されていないかは確認し、よく洗浄して与えるようにしましょう。
その他
グリットには、よく洗って消毒した、川砂や海砂が適しています。石灰石や貝殻などを添加して与えるのはミネラルの摂取過剰となりますので、避けたほうがいいでしょう。塩土は塩分とミネラルが補給できます。取りすぎて水をたくさん飲むと下痢になったりしますので、コーティングしていない塩土を容器に少しずつ与えるようにします。
ボレー粉・カトルボーンはカルシウムとミネラルが摂取できますので与えるようにします。そのままでは食べれない小鳥もいますが、穀物種子などに混ぜて食べさせましょう。ボレー粉には着色料の添加されたものがありますが、できるだけ無着色のものを使用します。卵殻は、サルモネラ菌汗腺の危険があるので注意しましょう。

栄養素と疾病との関係

鳥類はその種類が非常に多いため個々の種ごとに必要な栄養要求量などは未だ分からないことも多く、飼い鳥を飼育するときに栄養障害を起こすことも多く見られます。動物病院にこられる患者様の多くも栄養障害による疾病が多いようです。栄養過多と栄養欠乏、この2つは相反するもので、どちらも動物にとって好ましくありません。栄養過多では不必要な栄養素は体に有害となります。また栄養欠乏は非常な発育を妨げます。栄養はバランスよく適量を与えるようにしましょう。

成長期
成長期に見られる問題は、食事の栄養不足です。日本では急激な成長期に【アワダマとお湯】だけの食事が今も多く、栄養性疾病の原因となっています。アワダマは炭水化物でビタミンB1の欠乏症になりやすく、他のビタミンA、カルシウムなども不足します。また、ヒナ鳥の時期にケージから出して遊ぶ時間が多いと、離乳時期が遅れたりすることもあるので注意しましょう。
穀類や種子が主食の食事では栄養不足です。市販されている混合飼料の成分表と小鳥に必要な栄養分量を比較しましょう。
維持期
成鳥した小鳥は栄養過多に注意しましょう。飼い鳥は運動量が少ないにも関わらず、いつでも食事ができるという状況から過食になりがちです。飼い主様がおやつとして与える高カロリーで脂肪分の高いひまわりや麻の実は維持期の小鳥には必要ありません。栄養過多、バランスの悪い食事は肥満の原因となります。
毎日決まった時間に体重測定を行い、体重の増減があった場合はかかりつけの獣医師に相談しましょう。

体に栄養を与えるのが栄養素です。必須栄養素とは体が正常に機能するために食事する中に含まれるのが望ましい栄養素です。これら栄養素は相互作用で必要量が決まります。相互作用には、その動物の種・生理状態・性別・その他いろいろな環境因子が含まれます。その中で最も条件の合う栄養素を見つけて与えることが最良です。

栄養素
  • タンパク質とアミノ酸

体を構成する成分であり、不足すると成長障害を起こします。
また、羽などの障害にもなります。

  • 脂肪

エネルギーとして利用されます。繁殖期・成長期には特に必要になります。肥満から生活習慣病・繁殖障害を起こします。

  • 炭水化物

ほとんどがでんぷんでできています。エネルギーとして利用されますがあまると中性脂肪として貯蔵され肥満の原因となります。

 
  • ビタミンA

不足すると粘膜上皮の免疫力が低下し、病原菌に感染しやすくなります。腎障害や痛風、腫瘍にもなりやすく、羽毛などが変色します。

  • ビタミンD

不足するとカルシウムの吸収ができなくなり、骨の異常や繁殖時に障害が起こります。過剰だとカルシウムが沈着し組織の機能が悪くなります。

  • ビタミンE

不足することはあまりないのですが保存の悪い飼料を与えると欠乏になります。欠乏すると筋肉変性や脳軟化になります。

 
  • ビタミンC

ストレス、栄養、毒物、病気などによって多く消費されます。通常不足することはありません。

  • ビタミンB1

神経系を正常にする働きがあります。欠乏すると神経症状、成長障害、消化不良を起こします。

  • ビタミンB2

代謝系に関与しています。不足すると神経系障害、成長障害、皮膚炎を起こします。

 
  • ビタミンB6

不足すると食欲減退、体重減少、変決、歩行障害、神経症状を呈します。

  • ナイアシン

不足すると皮膚炎、ペローシス、成長抑制、羽毛異常、関節異常を起こします。

  • パントテン酸

不足すると成長遅延、羽毛障害、神経障害などを起こします。

 

よいフードを選びましょう

種類
小鳥用のペレットにはヒナ鳥用から成鳥用までいろいろなタイプがあります。飼っている小鳥に合ったものを選びましょう。
ペレットの主な原料はコーン・小麦・ピーナッツミールなどの植物性たんぱく質です。それに成長に合わせて必要な栄養素を含んでいます。

1.メンテナンスタイプ・・・繁殖をしていない成鳥用
2.ローファットタイプ・・・肥満の成鳥用
3.ヒナ鳥パウダーフード・・・成長期のヒナ鳥や病気の成鳥に
選び方
市販のペレットは、使用期限、製造年月日、使用成分、成分表が記載された信頼のできるメーカーのものを選ぶようにしましょう。飼っている小鳥の種類や年齢、小鳥の状態、病気などを考慮し与えるのが良いので、かかりつけの獣医師と相談した上で選ぶことをお勧めします。良質なペレットには処方食扱いのものがあります。また同じペレットを長期間与えることで鳥にダメージを与えることもあります。特に処方食ペレットは獣医師の指示のもとで与えるようにしてください。
必要性
多分多くの飼い主様の飼っている小鳥は成鳥だと思います。繁殖をしない成鳥にとって穀類・種子の食事はカロリーは十分ですが、必要な栄養素が不足しています。まして、成長期にあるヒナ鳥に同じような食事を与えることは病弱な小鳥にしています。自然食品で小鳥にバランスよく食事を与えることは飼い主様にとって多くの時間と労力が必要になりますが良質なペレットを与えることで総ての問題は解決します。

小鳥に必要な栄養素は、ヒナ鳥、成鳥、病気、肥満などで違ってきます。また、動物性タンパク質を含むペレットはお勧めしません。

鳥についての研究も進んではいますが、まだ不明なことも多いのです。栄養のことも完全にわかっていません。しかし、これまでの食事と比べてペレットの栄養バランスは小鳥にも適していると言えます。

  • 葉酸

不足すると貧血、発育不全、羽毛障害、ペローシスを起こします。

  • ピオチン

不足すると皮膚炎、骨格異常、運動失調、ペローシスなどを起こします。

  • コリン

不足するとペローシス、成長障害、肝脂肪を起こします。

 
  • カルシウム・リン

骨の構成成分です。穀物飼料ではカルシウムとの比率が悪すぎます。カルシウムとリンの比率は2:1です。カルシウムが欠乏すると、骨格異常、軟卵、テタニー症状を起こします。

欠乏することはほとんどありません。過剰になるとヘモクロマトーシスを起こすこともあります。

  • ヨウ素

欠乏すると甲状腺障害を起こします。